ＥＳ（従業員満足度）・エンゲージメント向上の企業事例⑤新栄住宅

新栄住宅のＥＳ改善事例

今回も引き続き当社が支援したＥＳ改善の企業事例をご紹介したいと思います。今回ご紹介する新栄住宅株式会社様（以下新栄住宅と略す）は福岡県福岡市に本社を構え、九州経済圏の中心となる福岡を中心に先日の大震災があった熊本や長崎などでマンションの開発・販売・管理を行っている企業です。

「心身ともにストレスを感じない健康の提供」を経営ビジョンのスローガンとして掲げ、創業47年目を迎え、福岡では『アンピールマンション』というブランド名を知らない人はいないほどの認知度の高さを誇る企業です。

当社のＥＳの書籍購読がきっかけとなり、当社が支援し2015年から年1回の頻度でＥＳ調査を実施しながらＥＳの改善活動を展開しており、今年4月に2回目となるＥＳ診断が終ったばかりの新栄住宅の取り組み事例をご紹介させて頂きます（以下は新栄住宅の総務部・古賀課長からの取材内容です）。

―ＥＳ調査実施を意思決定した背景は何だったのでしょうか？

当社にはもともと「社員・家族の幸せのために喜びを感じ、安心して笑顔で暮らせる企業へ進化し続けます」という内容が行動指針の中にあります。顧客だけでなく社員まで含めた広い範囲で、もっといい会社にしていきたいという社長の想いもありＥＳ向上へ取り組むようトップからの指示がありました。

そこでＥＳの研究を進めていったところ、志田さんの書籍を購読したことがきっかけとなり、中小企業でのＥＳの支援実績が豊富にあることから、ヒューマンブレークスルー社でのＥＳ調査を行う運びとなりました。

―ＥＳ調査の結果を確認した、率直な感想はどうだったでしょうか？

ＥＳ調査結果を確認すると、ヒューマンブレークスルー社の特徴である、社員の生声ともいえるフリーコメントが項目ごとにしっかりと確認することができ、把握していなかったことなども分かり、ＥＳ向上に向け必要な課題をはっきりと掴むことができました。

また、このフリーコメントを確認することで、ＥＳの課題とは別に社員の意識レベルの差が大きいことも分かり、色々なことを考えさせられるとても興味深い結果となりました。

また課題ばかりではなく当社の強みも理解することができました。それはＥＳ診断項目にある「自己成長―自発的な社員の勉強に対する会社の支援体制」という項目の満足度(スコア:3.90)および重要度(スコア:3.90)の両スコアがとても高く、フリーコメントからも「会社の教育支援にはとても感謝しています」といった声もたくさん寄せられました。これは当社ならではの素晴らしい特徴だという指摘が志田さんからもあり、これまで社員教育に力を入れてきた成果を、数値や社員の生声から確認することができました。

―ＥＳ調査後の改善活動はどのように取り組まれましたか？

当社では課長以下で改善のプロジェクトチームをいくつか作り、チーム毎に改善テーマを設定した上で改善活動に取り組みました。また社内のプロジェクト以外では、ヒューマンブレークスルー社に「上司のマネジメント」の部分でマネージャーＭＱを提案していただき、経営陣まで含めた管理者層の行動特性をより相応しいものにしていくための取り組みも行いました。

社内のＥＳ改善プロジェクトでは、例えば「事業戦略・運営」の部分でクレーム対応やＣＳ向上の取り組みを強化する必要があることが分かり、これらを改善するために電話応対マニュアルなどを整備しました。「仕事内容」の部分では、業務の流れがスムーズにいくように、業務依頼のルールなどを明確にしたり、また当社の強みでもあった「自己成長」については、もっと現場の意見を吸い上げた上で、教育研修の企画を行うようにブラッシュアップを図りました。

「職場環境」についてはハード面では喫煙室の移設や耐震化のための対策を講じたり、ソフトメン面ではハラスメント教育の啓発などを展開し、より働きやすい職場環境の改善につなげていきました。「労働条件」に関しては、仕事の見直しや業務効率の向上を図り残業を削減したり、有休が取得しづらい現状があるということが分かりましたので、有休取得の申請書を改訂し、有休が取得しやすい環境整備なども行ってきました。

―2回目のＥＳ調査の結果から分かる、会社が変化した点は、どんなことでしたか？

第2回のＥＳ診断の結果では、総合満足度では第1回の結果と比較し、0.01ポイントＵＰしており、全10項目では半分以上となる6項目で満足度スコアが向上しました。第1回診断後に講じた打ち手は、ある程度有効性があったと認識することができました。

また第2回のＥＳ診断では、ヒューマンブレークスルー社からの提案で、「前回のＥＳ診断から会社が変わったことは何か？」「当社の強みや誇れるものは何か？」といったフリーコメントのみの設問を設計してもらったのですが、「前回のＥＳ診断から会社が変わったこと」の集計結果では、1位が「有休が取得しやすくなった」、2位が「分煙化が以前よりも改善された」、3位は「働きやすい職場環境になった」といった回答結果となっており、他にも「社内の改善意識が向上した」や「風通しが良くなった」といった声も多数ありました。生産性向上を実現できる職場環境の整備はＥＳ診断後の改善である程度実現できたと捉えています。

社員から見た会社の強みや誇れるもの

また会社の強みや誇れるものは何か？という設問の結果は上記のような結果となっており、「会社のブランド力」が第1位となっており、今後は会社の強みをさらに伸ばしていくにはどうすればいいか？といった視点からも有効な改善活動につなげ、会社が掲げる行動指針に近づいていけるよう、継続的な取り組みを行っていきたいと考えています。また今まで以上に女性の就業環境UPを図り、今後もＥＳ発展を目指していきます。（取材内容はここまで）

（2016年8月号帝国データバンク発行「帝国ニュース」での弊社代表志田貴史の執筆記事より）